この「道祖神」は、長野県須坂市の上八町、長野須坂インター線沿いに建っています。
地元の方からは、地籍「芝原」をとって「芝原組道祖神」と呼ばれているのです。
「道祖神」とは元々、村境に建てられることが多い碑で、
旅の安全を祈る為や悪霊の村への侵入を防ぐ、五穀豊穣の祈願などで建立されます。
この碑には、「猿田彦命<サルタヒコノミコト>」と「天宇受売命<アマウズメノミコト>の姿が線で彫られており、道祖神としては珍しいものとなっています。
猿田彦命は「天狗」のモデルともなった神様で、「道の神」としての性格をもっている神です。
道祖神が道案内の役割をもっていることはから、「道の神」である猿田彦命と結びついたのだと考えられているようです。
また、猿田彦命は「男女の縁結び」という一面も持った神です。
いっぽう「天宇受売命」は、あの有名な神話「天岩戸<アマノイワト>」の際に、隠れてしまったアマテラス大神を外に誘い出すために踊りを踊った神として知られています。
女性らしく人を魅了することの得意な神で、芸能の神として信仰をされているのです。
そして、神話の中ではこの二神は夫婦とされています。
今回のこの碑には夫婦二神が寄り添うように彫られていることから、
道祖神的な意味合いよりも「縁結び」的な意味合いの方が強く感じますね。
正直、今となってはどうしてこの地に建立されたのかはわかりません。
この地が村の境でもあることから、
もしかしたら隣り合う村同士の男女が何かしらの縁があって一緒になったことを記念して建立されたのか・・・
それとも二人の願いが叶わず、願いを込めて建立したのか・・・
この碑には、誰かの願いが込められていて、何かしらの意味があることは間違いありません。