長野県須坂市は松川と市川(百々川)の複合扇状地の上にあるために、川下では地盤がゆるく、水害が多くおこりやすい地理的要因があります。
小島地区も隣を流れる松川の氾濫により、昔から度々水害に苦しめられてきました。
水害に備えて部落と河川の間には堤防が設けられたと同時に、人々は神仏様に水害を防いでもらうために多くの石祠や観世音像が祀ったのでした。
また、水害がおこってしまうと多くの人命が失われるので、供養のために地蔵様や屋敷神が置かれたのです。
この聖観世音像周辺にも堤防があったそうで、その名残で、この場所に観世音が祀られているとの古老の話です。
今となっては水害が全くおこらなそうな畑の中に、「ポツン」と置かれたように見える観世音像と祠ですが、これらは須坂の先祖たちがこの地で水害と戦いながら生活をしてきたという証なのです。