上中町

浮世小路

製糸業が隆盛したころを見られる場所。この世と浮世を渡す橋

長野県須坂市は、明治時代より製糸業の発達と共に栄えた町です。
今も町のいたる所に当時の華やかさを伺える場所が点在します。

須坂市で製糸業が盛んだった明治~昭和初期には、市内に製糸工場が沢山あり、そこで働く工員工女は最盛期には一万人近くいたといわれています。
工女たちは須坂出身者だけではなく、近隣の町村から出稼ぎにきていたと伝えられています。


製糸業は「生死業」とも書かれる様に、価格の変動が激しい商売でした。
製糸業者は、生糸の価格に敏感となり、より多くの情報を集めるために関東方面の商人達と密に連絡をとりあったといわれています。
関東方面から須坂の町に商人が訪ずれると、須坂の製糸業者は彼らを接待します。
接待の場に料理屋が使われ、客人を楽しませるために芸者衆が呼ばれました。

そうして須坂市は「花街」が発達したのです。



「上中町」交差点より「浮世小路」に入ります。
車が一台やっと通れるほどの狭い道ですが、そんな所にも当時の花街としての面影を現在も見ることができます。

そこには「浮世橋」という小さな橋が架かっています。
当時沢山いた「芸者さん」や遊びを楽しんだ人々が心踊らせながら渡ったのでしょうね。
現在は「浮世亭 豊よ松」さんが当時を感じさせる店を営業をしています。

浮世橋とは「現世」と「浮世」を隔てる意味合いで付けられた名前なのだそうですが、現実と夢の世界を分ける橋なんてなんとも惹かれますね・・・。


このような歴史を感じさせるものはどうにか残していただきたいものです。

浮世小路

住所:上中町
名前:浮世小路
取材日:2005/06/05
更新日:2020/03/30

参考文献

信州須坂の町並み<青木廣安著、丸山武彦絵須坂新聞社>

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