長野県須坂市井上に「土栗<ツチクリ>」という集落があります。
その集落の中にこの「井上氏墳墓<イノウエシフンボ>」があるのです。
五輪塔や宝篋印塔<ホウキョウイントウ>が乱積みされている墳墓で、誰の墓であるかはわからないのだそうです。
しかしここは、平安時代頃にこの地域一帯を治めていた「井上氏」の館があった土地で、その時代は館内に墓地を造っていたことを考えると、おそらくは井上氏関係の誰かの墓ではないか・・・
とされているのです。
この墳墓は石質や様式から中世室町時代につくられたものでそうで、以前は周辺に広がっていたものを明治維新前後にこの場所に集め塚を築いたのです。
その後昭和45年5月25日に須坂市指定史跡の認定をうけました。
この場所の近くに井上から八町へ抜ける「乗超し<ノッコシ>」と呼ばれた古道がありました。
その途中には井上氏の祈願寺で、井上の始祖とされる「井上満実<ミナモトノミツザネ>」が建てた「大日堂」があったとされているのです。
この墳墓の敷地内には訪問帳があるのですが、中を覗くと
「井上姓の原点を探しこの地のたどり着きました」
「井上の原点はここだったのか!」
という内容の書き込みが沢山されていました。
中には「井上ゆかりの地訪問ツアー一同」みたいなものまで・・・(ツアーなんてあるのですね)
全国の井上さん。
どうやらここがあなたの姓の始まりのようですよ。
この「井上氏墳墓」に入るときに近所の方が
「すみません。刈っても刈っても草が伸びちゃって。どうぞゆっくり見てください」
と声をかけてくださいました。
地域住民によって大切に保存されているようで、僕は「井上」ではありませんが嬉しく感じました。