長野市と須坂市を結ぶ「村山橋」の北側に先「桜並木」があり、その並木の突き当たりに祀られている碑が「九頭龍大権現<クズリュウダイゴンゲン>」です。
「九頭龍」とは1つの大きな頭とその胴体から左右4本ずつ腕のような8本の首が出ている八臂(1つの体に8本の腕)の龍神様です。
また、七福神の1つとして有名で、インドでは水の神として信仰されている「弁財天」はお経の中で
「その姿は一面八臂(八本の腕)で、人々に弁才、無尽の智恵、財宝、延命を与える」
と紹介されています。
実はこの両者は同じ神様のことで、インドでの姿は「弁財天」。日本での姿は「九頭龍」とされています。(仮にも神話内での話ですが・・・)
この石碑はいつ頃祀られたものかは定かではありません。
しかし、昔の須坂市村山は、村の中央に千曲川が流れ、更に百々川にはさまれていることもあり、日頃から水害に苦しみ悩まされてきた土地でした。
そのために「水の神」「五穀豊穣の神」である「九頭龍大権現」を勧請<カンジョウ>して生活の安泰を祈ったものと思います。
また、洪水のときの河川の荒れ狂う様子を九頭の龍の姿に見立て、「九頭龍大権現」を祀ることで水の猛威を鎮(しず)め、田畑を洪水から守ることを祈ったものとも考えられます。
この千曲川付近は今でも大雨が続くと度々氾濫します。
2004年の台風23号でも大きな被害を受けました。
治水対策が行なわれている現代でも氾濫してしまうのですから、昔はもっと酷かったのでしょうね。
この「九頭龍大権現碑」は約1.8mの基壇の上に祀られていることからも、この土地がいかに水害が多かったのかを表しているのです。