虎御前の墓

須坂市八幡町の八幡追分<ハチマンオイワケ>と呼ばれる、かつて善光寺方面へと抜けた辻のほど近くに、大きな石を3つ重ねた三輪塔が建っています。

これは、「虎御前の墓」と呼ばれるものです。


虎御前<トラゴゼン>とは、鎌倉時代に親の仇討ちを題材とした物語「曽我物語<ソガモノガタリ>」に登場するヒロインの名前です。
物語では、父親を殺された仇討ちをするために苦難を乗り越え、仇討ちを成功させる兄弟(曽我十郎祐成<スケナリ>、曽我五郎時致<トキムネ>)の嫁として登場します。
虎御前は、兄弟の仇討ち成功までのストーリーを曽我物語として、口承に口承を重ねて徐々に全国に広めました。

この墓へ入る途中にある説明書きには

「曽我兄弟は父の仇討ち一筋の青春をおくって果てたが、十郎亡き後仏門に入った虎御前は善光寺に参詣し、八幡に住んだと伝える。」

と書いてあります。

 

これと同じような「虎御前の墓」と伝わる墓は全国各地にあるようです。

そのわけは、長きに渡って人から人へと曽我物語が語り継がれるうちに、物語を伝えた人物を「虎御前」であると聞き手が勘違いをし、語り手が亡くなると村民たちは哀れんで墓を建てたのであろうと考えられるのです。

きっとこの八幡の虎御前の墓も同じような経緯で建立されたのだと推測されるのです。<



しかし、今もなおこのように「虎御前の墓」が大切に残されているといことは、この地域に住んでいる住民が情厚き人々である証拠でもあるのです。


虎御前の墓


名前:虎御前の墓
取材日:2009/11/20
更新日:2021/09/08

参考文献

ふるさと八幡<八幡沿革史刊行委員会>

掲載している探検隊スペシャル