穀町の笠鉾

長野県須坂市では、毎年7月21日より25日まで須坂祇園祭が執り行われます。
祇園祭は21日の「天王おろし(神輿)」と「笠鉾行列」によって幕が開けるのです。


この時期に須坂祇園祭が行なわれることは知られていても、その意味はなかなか知られていないことが現状です。

そこで、今回はより祇園祭を楽しめるように「須坂市祇園祭笠鉾行列」に参加する各町の笠鉾について調べてみました。


須坂市穀町は明治22年4月に小山村より単独分離して須坂に合併しました。その後、明治24年に笠鉾と屋台を作り笠鉾行列に参加するようになったのです。

穀町の笠鉾の依代<ヨリシロ>は日本芸能源流の女神「天鈿女命<アメノウズメノミコト>」です。神話では天岩戸に隠れた天照大神<アマテラスオオミノカミ>を外に誘うために熱狂的な踊りを披露したとされている神なのです。
町に蔓延る鬼達を天鈿女命の踊りで魅了し集め、一網打尽にしようという願いがこの人形に込められたのでしょうか。

現在、穀町笠鉾の上下帽額<モコウ>への刺繍は「穀」の字を円形にデザインしたものが使用されています。

以前は上帽額には左三つ巴の紋を挟むように「ス印」の亀甲型の紋の中に「穀」が入った紋が刺繍され、
下帽額には「ス印」の亀甲型の紋の中に「穀」が入った紋を挟むように鳳凰<ホウオウ>が向き合った絵が刺繍されていました。

前の帽額の方が凝った刺繍を施してあったのです。
ダシに使用されている「天鈿女命」の装束<ショウゾク>は明治24年以降3回取り替えた記録が残されているのです。





穀町の笠鉾


名前:穀町の笠鉾
取材日:2020/07/18
更新日:2020/09/26

参考文献

須坂の祇園祭<須坂市教育委員会>
須坂の祇園祭り 笠鉾<笠鉾会館ドリームホール>
日本の神様がわかる本<戸部民夫著>
写真 穀町笠鉾ピンバッチ<笠鉾会館ドリームホール内にて販売>

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