須坂祇園祭 神輿

長野県須坂市春木町にある「墨坂神社 芝宮」境内に「弥栄神社<ヤサカジンジャ>があります。

毎年7月21日の須坂祇園会には「弥栄神社」より「お天王さま」が神輿<ミコシ>に降ろされて市内を回るのです。
この一連の行事を「天王おろし」とよんでいます。
反対に祭りの最後に神輿より弥栄神社にお天王さまを揚げる行事を「天王あげ」とよんでいます。


須坂の牧家には昔より芝宮の神輿と関連深い神輿が保管されているそうです。
その経緯は神輿記録として残されていて、その内容は

元文3年(1738)に芝宮及び天王社(弥栄神社)が焼失してしまった際に再建の中心となった人物が「牧七郎右エ門」だった。
牧七郎右エ門は天王御神体及び神輿を吉田神道の最高位である京都の吉田家より勧請するとともに、京都の祇園祭りを見学し、当地の工匠<コウショウ>に依頼して小型神輿を製作させた。

というものです。
その神輿が今も牧家に伝わり、慶応2年(1866)にその神輿を元に作った神輿が現在「須坂祇園会」で使用されている神輿なのです。


「お天王さま」については以前このページで紹介しましたが、元々は須坂市日滝地方を治めていた須田氏の氏神でした。
戦国時代に須田氏が戦で手柄をたて、京にて従五位を授けられたのです。
「お天王さま」はその記念と武運を祈って京都より勧請したとされています。


江戸時代になってからの「お天王さま」の移動と神輿移転については、様々な問題があったそうですが、現在は芝宮の「弥栄神社」にお祀りしているのです。





例年、長野県須坂市は7月に入ると「須坂祭り」が行なわれます。
須坂市の住民の中には須坂祭りのメインイベントが「須坂カッタカタ祭り」や「百々川での花火」だと思っている方が多いように感じます。
実際僕も以前はそう思っていました。

しかしこの「須坂祭り」のメインイベントは「祇園会<ギオンカイ>」なのではないでしょうか。

祭りを迎えるにあたり、もう一度「須坂祇園会」とはどのような祭りなのかを調べてみようと思うのです。



須坂祇園祭 神輿


名前:須坂祇園祭 神輿
取材日:2006/06/29
更新日:2020/09/26

参考文献

須坂の祇園会<須坂市教育委員会>
写真 芝宮神輿ピンバッチ<笠鉾会館ドリームホール内にて販売>

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