中町の笠鉾

長野県須坂市では、毎年7月21日より25日まで須坂祇園祭が執り行われます。
祇園祭は21日の「天王おろし(神輿)」と「笠鉾行列」によって幕が開けるのです。


この時期に須坂祇園祭が行なわれることは知られていても、その意味はなかなか知られていないことが現状です。

そこで、今回はより祇園祭を楽しめるように「須坂市祇園祭笠鉾行列」に参加する各町の笠鉾について調べてみました。


笠鉾行列に出る中町の笠鉾は、神様が降りてくる目印とされている「依代<ヨリシロ>」に瓢箪<ヒョウタン>と芭蕉<バショウ>が飾られています。
瓢箪は神事の器として用いられることが多く、芭蕉は能楽の曲目にもなっています。

能楽「芭蕉」のテーマは
「草木国土悉皆成仏<ソウモクコクドシッカイジョウブツ>」であり
人間や動物のみならず、心をもたないとされている植物までも救済してしまうほど、仏の慈悲は広大である、という意味だそうです。

きっと「能楽の芭蕉」と「植物の芭蕉」をかけているのではないでしょうか。

中町の笠鉾の上帽額<カミモコウ>の紋は因州守<インシュウマモリ>の図柄です。
この紋章は「祇園守<ギオンマモリ>」の一種なのだそうですよ。
また、下帽額には赤の布に波をあしらいその上を千鳥が舞い飛ぶ姿が刺繍されています。

中町の笠鉾は依代から下帽額まで豪華で凝った作りをしているのです。







中町の笠鉾


名前:中町の笠鉾
取材日:2020/07/20
更新日:2020/09/26

参考文献

須坂の祇園祭<須坂市教育委員会>
須坂の祇園祭り 笠鉾<笠鉾会館ドリームホール>
能<観世文庫オフィシャルサイト>
写真 中町笠鉾ピンバッチ<笠鉾会館ドリームホール内にて販売>

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