この「本郷大塚古墳」は、須坂市街地より高山方面にのびる「県道須坂高山線」の北側にあります。
昔から古墳であることは知られていたようですが、盛られた土も近くの田畑に使われ、数個の石材が地表に露出しているだけだったので、既に盗掘が進んでしまっているとされていました。
昭和56年の広域農道区画整理に伴い、この古墳が道にかかってしまうため、緊急発掘調査が行われることになったのです。
驚くことに、この発掘調査によって古墳内部はとてもよい状態で残されていたことがわかり、出土した宝物は県下でも稀にみる一級品ばかりでした。
中でも「圭頭太刀<ケイトウタチ>」は、漆塗りの鞘は残っていないものの保存状態がよく立派な太刀です。
柄<ツカ>は、木に美しい打ち出し模様を施した金銅板で覆い、柄頭<ツカカシラ>は、中国の儀式に用いられる「玉器の圭」に似ていることから圭頭<ケイトウ>と呼ばれる形をしています。
このような圭頭太刀を副葬している被葬者は、相当身分の高い人だったことが推測できるのです。
その他にもこの本郷大塚古墳からは武器や三輪玉、装身具、珠文鏡<シュモンキョウ>人骨などが出土しました。
これら本郷大塚古墳からの出土品は須坂市立博物館にて見学することができます。
僕は須坂が郷土ということで、この本郷大塚古墳の存在は知っていました。しかし名前以外は何の知りませんでした。
須坂市立博物館学芸員の千葉さんの案内で足を運んだのがあつい夏の日。
その頃には草が覆い茂り古墳の全容がまるで見えなかったのです。千葉さんが言っていた「古墳を見るなら秋がいい」という話を思い出し、遅れながら今の時期にもう一度行ってみました。
やっぱり古墳を見るなら草が無い季節がいいですね。
以前に紹介した「八町鎧塚」もそうですが、須坂には考古学的に大変貴重な古墳がいくつもあります。
これから、それらも探検し、僕自身の勉強と共にご紹介できればと思うのです。