東横町

旧角一製糸

旧角一製糸は、横町通りの入り口にあります。
一目で3階建てとわかる繭蔵作りの大きな建物で、2009年より須坂市の「蔵のまち観光交流センター」として使用されています。
(上の画像改装前のもの)


角一製糸は、太平洋戦争までは従業員180人をかかえる大きな製糸工場でした。
この建物は明治20年代に建てられた伝わっています。
当時、2、3階には一年分の仕入れた繭を広げて乾燥させて保存をしていたそうです。
1階は繭を取り引きした店と座敷があり、店には中店と上店があったようです。この蔵の西側に下店と呼ばれた古い建物もありました。


これほどの蔵を建てた人物は、角一製糸初代社長、牧金作氏。
山一から山三まである牧家の分家であった金作氏の屋号は、通常ならば「山四」。
しかし「ヤマシ」の語呂を嫌った同氏は、屋号を「角一<カクイチ>」としたといわれています。
改装された今でも、屋根の上の鬼瓦には「四角に一」と刻まれています。
また、改装前のナマコ壁と呼ばれる基礎上部に「波型鏝絵<ナミガタコテエ>」がデザインされていました。
これは、蔵にとって一番怖い火災から蔵を守るために付けられたお守りのようなもの。

建物に水に関係するものを模ることで、おまじないをしておいたのです。
似た様なものに、鬼瓦に「水」の文字を刻む。寺院などの懸魚<ケンギョ>に樽の栓のような飾りをつけることがあります。
土壁によって厚く作られた壁をもつ蔵でも火災は怖いものなのです。


旧角一製糸

住所:東横町
名前:旧角一製糸
取材日:2010/06/15
更新日:2021/09/10

参考文献

須坂の製糸業<須坂市教育委員会>
信州須坂の町並み<青木廣安著、丸山武彦絵須坂新聞社>

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