須坂市指定有形文化財の一つに「ステンドグラス」があります。
このステンドグラスは現在、須坂博物館の2階へと続く階段の途中に展示されています。
博物館の職員の方によると、
このステンドグラスに朝日が当たる時、言葉では言い表わせないほどの、とても綺麗な色がそこに映し出されるのだそうです。
このステンドグラスは大正時代に大倉製糸須坂工場応接室にはめこまれていた品で、その後場所を転々としながら、この博物館に展示されるようになりました。
大倉製糸の設立は大正2年10月。
須坂工場は大正7年に作られ、その副社長には製糸王「越寿三郎」、専務にはその息子「越泰蔵」が任命されています。
これは製糸工場建設に六十三銀行(現八十二銀行)や信濃電気が関わっていたためなのです。
大倉製糸須坂工場は大正13年に「長野製糸」となりました。
その後このステンドグラスは外され場所を転々としたようです。
グラスの中心には大倉製糸社長、大倉喜八郎氏が与えられた勲章<クンショウ>(勲四等旭日小綬賞)を型取り、その外には糸枠と大倉氏の家紋(五階菱)、更にその外には桑の葉がデザインされています。
そのデザインからも製糸業に関係が深いことがわかるのです。
製糸業は「生死業」とも言われた栄枯盛衰<エイコセイスイ>の激しい産業。
このステンドグラスはそんな須坂の製糸業の酸いも甘いも見てきた歴史的遺産なのです。
写真では紹介できない、このステンドグラスの色と質感を
是非「生で」見て感じて下さい。