村石町

村石の水神

水は、人の生活にとってかけがえのないものです。
古来より人は、水を慎重にそして大切に使ってきました。
水の湧き出る場所や水路の分岐点などには神を祀って、枯れることが無いように、水害が起きないように祈っていたのです。


村石町の中心を走る国道406号から少し入ったところにこの水神は祀られています。
この場所は、水路の分岐点という、人々の生活にとって「水を分ける」特別な場所なので、水神が祀られたのだと考えられます。

この水神は、昔村石町の竹前家にてお祀りしていたそうで、昭和52年の同家の移転に伴い、現地点に移設したと伝えられています。
石碑の表面には「円の模様」と「水神」、そして「竹前〇之助」「明治38年」(1905)と刻まれています。

円の模様は太陽を表しています。
「水神」の下の人物の名前らしい文字は今となっては一文字が読みにくくなっていますが、以前は「竹前卯之助」と読むことができたようです。
竹前卯之助は戊辰戦争時に、須坂藩の筆頭隊長として活躍した人物ですが、この石碑にその名が刻まれた理由は解ってていません。




昔は水の分岐で揉め事が起きることも多々ありました。
自分へ引くことのできる水量は、生活にも、そして農業の収穫量にも直結していたのです。
昔の人の、水に対する気持ちと姿勢は、蛇口をひねればいつでも水が出てくることが当たり前の現代人に到底わかるはずがありません。
しかし、この地球上で水の元である「水素」は増えてもいなけば減ってもいないのです。ただ、便利になっただけ。



「毎日蛇口をひねれば出てくるのが当たり前だ」と思うことなく、昔の人に学び、水に対する姿勢を習えば、水の大切さと共に水道から水が出てくることのすばらしさを再認識できるはずだと思うのです。
水の無駄使いなんて到底できません。





村石の水神

住所:村石町
名前:村石の水神
取材日:2008/06/29
更新日:2021/06/09

参考文献

須坂市石造文化財<須坂市教育委員会>
須坂の水散歩<田子昭治編集 田子昭治発行>

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