米子町の火祭り

「どんど焼き」は全国各地で行われる行事です。

長野県須坂市米子町の「どんど焼き」は
この地域に伝わる「独特な方法」で行われるのです。


今年は1月14日の昼間、松の木を切って櫓<ヤグラ>が組まれます。
地域の子供達が各戸から薪、書初め、ダルマを集めて、15日の夜にこれらを焼くのです。

ここまでは普通の「どんど焼き」。


米子町の櫓は大小2つ組まれるのです。
まず小さい櫓に火をつけ、各々団子や餅を焼きます。
どんど焼きの火で焼かれた団子や餅を食べると、その1年病気をしないといわれています。


しばらくすると、

「そろそろいくぞぉ~」

の合図で辺りの空気が一気に張り詰めます。
皆が何かに構える。
まるで戦闘態勢。

女性や老人は場所を空け、隅に寄ります。
子供達は皆、体の割りに太くて大きい「しめ縄」を持ち、火のついていない大きな櫓を囲み、陣を作ります。
大人達は隅にまとめてあった「ワラ」の束を持ちます。


そして、大人が持ったワラに小さな櫓の火がうつると、一斉に大きな櫓に火を付けようとワラを持ち突進するのです。

子供達は大きな櫓に火がうつらないよう、しめ縄で叩いて消します。
火が消されると大人は、新たなワラを持ち、再び大きな櫓に火をうつそうとするのです。


そう。
「火をつける人」と「これを消す人」とが、攻防を繰り広げるのです。


これは、毎年話題になる「野沢温泉村の道祖神祭り(火祭り)」と規模は違えど同じ光景。


須坂市米子町でも「火祭り」が行われていたなんて驚きです。
今はあまり知られておらず、人数も集まらないので大人と子供に別れて行っていましたが、過去には大人同士が勇ましく行っていたようです。(年男が火をつける役と聞きました)

こんなにも勇ましい米子の火祭りを無くしてはいけません。
是非とも野沢温泉のように広まって、後世に受け継いでいって欲しいものです。




米子町の火祭り


名前:米子町の火祭り
取材日:2007/01/14
更新日:2020/12/18

参考文献

米子村志<竹前利男著>

掲載している探検隊スペシャル