長野県須坂市仁礼地区は「大笹街道」の仁礼宿<ニレイジュク>があった所として知られています。
大笹街道は、須坂の福島宿を起点として上州、その先の江戸を結ぶ
公許の道として多くの人々、商人が行き来した街道です。
この仁礼宿を越えると長く険しい「菅平越え」と呼ばれる山道が続くのです。
仁礼宿は、山から下りてきた者にとっては疲れを癒す宿であり、
これから難所に向かう者にとっては精気を奮い起こすために休む宿として賑わっていました。
「馬頭観世音<バトウカンゼノン>」は牛馬の守り神であり、牛馬に関わる信仰、旅の安全を祈願する対象として、主に街道沿いに置かれ崇められるようになりました。
大笹街道沿いにも多くの馬頭観世音が置かれています。
須坂より仁礼地区に入る入り口には、高さが3m近い大きな「馬頭観世音文字碑」があります。
文化6年(1809)に建立されたとあります。
旅の安全を願う気持ちが、このような大きな石碑となったのでしょう。
石碑の大きさからも、当時の菅平越えの厳しさをうかがうことができるのです。