臥竜公園内

竜ヶ池の弁財天

長野県須坂市臥竜にある臥竜公園。
この公園内の竜ヶ池には弁天島があり、そこに弁才天<ベンザイテン>をお祀りしている弁天社<ベンテンシャ>があります。



臥竜公園計画の立案がされたのは大正15年頃ですが、その時代は、須坂の製糸業が絶頂の時期であり、町全体が活気に満ちていたそうです。
それは、この年の須坂図書館の開館、私立須坂商業学校の開校、須坂権堂間の電車の開通など、大きな事業がいくつも行われたことからもその景気の良さがわかりますね。

しかし、林学博士本多静六<ホッタセイロク>氏によって計画された公園計画案はこの時代に実現されることはなく、先送りにされていたのです。




時代は変わり、昭和5年。
この時、生糸相場の大暴落によって須坂の製糸業者の多くが倒産を余儀なくされていました。
失業者は町にあふれ、町の税収入も大幅に減少、須坂町全体の大問題となっていたのです。

その失業対策として行われたことが、しばらくの間先送りされていた「竜ヶ池築造計画」の実施だったのです。

この一大工事には、延べ6500人もの人力が投じられ、多くの失業者に職を与えることができました。



この工事によって作られた竜ヶ池には、弁天島が設けられてました。
その弁天島は長野市の磯松園<キショウエン>馬場磯松<ババイソマツ>氏よって設計され、昭和6年6月に池が完成、同年7月に琵琶湖の竹生島<チクブシマ>の宝巌寺より弁財天を勧請しお祀りをしました。

臥竜池の開池式とともに行われた弁財天の遷座鎮座祭<センザチンザサイ>は、華やかに行われたのそうです。


今となっては須坂市に無くてはならない存在となった「臥竜公園及び臥竜池」、そこに水の神でありながらも商売繁盛の神でもある「弁財天」が祀られていることのは、築造の背景と当時の苦労を思い出させる一面でもあるのです。








竜ヶ池の弁財天

住所:臥竜公園内
名前:竜ヶ池の弁財天
取材日:2008/01/25
更新日:2021/05/18

参考文献

須坂の製糸業<須坂市教育委員会>
名勝臥竜公園
名勝臥竜公園の自然と歴史と文化<田子昭治編著>
日本の神様がわかる本<戸部民夫著>

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