「須坂市は格子の町です。」
と以前に聞いたことがあります。
その昔、現在ほど道に車が走っていなかった時代には、格子戸を持ったお宅が多くあったそうです。
今でも一部古い格子戸が残されていますが、車の排気ガスなどの影響から取り外してしまうお宅が多くなりました。
須坂市立町にある住吉屋穀店は、間口10軒ほどが全て格子戸という今では貴重なお宅です。
勝善寺に向かう通りは細く、車の通行が少なかったために今でも格子が残されているのかもしれません。
住吉屋穀店は、通りに対して平入りに建てられた大壁造りの立派な家屋です。
屋根の下、蛇腹と呼ばれる軒下は「クリ蛇腹」とも呼ばれる深い湾曲に模られています。
その家屋の下に更に屋根が設けられ、店舗となっています。
先にも書いた通り、立派な格子戸が並ぶ店構え。
現在の裏口には立派な門があることから、住吉屋さんは辻角に建っていたことがわかります。
勝善寺に抜ける通りを寺町通り、屋部町方面に抜ける通りを極楽街道なんて言う人もいます。
昔、火葬場があったことからそう呼ばれるとお聞きしました。
道幅の関係から現在は通ってはいませんが、昔は毎年7月21日に行われる祇園祭の傘鉾行列とお天王神輿が寺町通りを劇場通り方面に通過しました。
住吉屋は広小路で製糸業と穀商を営んでいました。
明治27年にこの場所に店と屋敷を買って移ったのだそうです。