小河原町を流れる「八木沢川<ヤギサワガワ>」の岸に
「弁天さん」をお祀りしている祠<ホコラ>があります。
この「弁天清水」は本来、長野刑務所の敷地内にあったものを現在地に移動したのですが、昔この辺りは柳の大木が群生していたことから
「柳清水<ヤナギシミズ>」
と呼ばれていたのだそうです。
共同井戸ができる昭和10年頃までは、この清水から湧き出た水は、小河原町を横断し、生活用水としてはもちろん、水田用水としても利用していました。
その頃、生活用水といっても「米のとぎ汁」や「洗濯の汚水」は川に流さず、汚水捨て場をつくり、そこに貯め、その後畑の下肥に使ったのだそうです。
そのくらいに川を汚さない気遣いをしていたのです。
この柳清水の水源には、湧き水への感謝と枯渇しない願いを込めて、文化元年(1804)に弁天さんをお祀りしました。
しかし、昭和30年代、長野刑務所の建設と八木沢川の改修工事によって残念ながら湧き水は枯れてしまい現在に至るのです。
昔の人の川や水に対する気遣いは、物凄いものがあります。
蛇口をひねれば水が出ることが当たり前の現代。
少しは、昔の人の水に対する思いの強さを勉強することが必要なのでは・・・と感じました。