東横町

三善牧家

国道18号より国道406号を通って須坂市に入ります。
その先の「横町中央交差点」より、蔵の町通りへと道が続きます。


江戸時代から明治にかけて、蔵の町通り入り口付近は須坂町の表玄関口でした。
その為にこのあたりには豪壮な土蔵造りの製糸家が軒を連ねたのです。


市外より須坂に入ってきた商人たちへ
「須坂はこれほど素晴らしい町なんだ」
ということを誇示していたのでしょう。

三善牧家もその1つです。



三善牧家は牧新七家の分家で、現在の建物は牧茂助が明治期に建てました。建物の配置は本家(クラシック美術館)に似ています。


蔵の町通りに面した建物は、左から「土蔵、門、母屋兼店」となります。
門の奥には客殿があり、製糸業を営んでいたころには工場もあったそうです。


建物を正面に立ち、足元を見ると土蔵から母屋そして母屋を囲む塀まで「ぼた餅石積み」が積まれています。
ぼた餅のような自然石の表面を生かすように加工を施させた石が、蟻が入る隙間も無いくらいにピッタリと組み合わされています。
現代のような機械など無い時代。
3人の職人で一日1つの石が積めればいいというくらいに手間と時間がかかる作業なのだそうです。


ぼた餅石積みの上に設置された「切り石」も素晴らしいですよ。
これだけ長い切り石を出せるほど大きな石があり、それらを加工する職人たちが須坂にいたことがわかります。



門は柱などがすべてが欅<けやき>で作られています。
扉の一枚板の大きさには圧巻。
またどこかの寺院を思い出させるような門の屋根も素晴らしい建築です。


店舗兼母屋も重厚な作りです。
見るからに重そうな屋根の下にある「出梁<だしばり>」が建物全体を引き締めています。
森山瓦店によって作られたという、一枚一枚家紋の入った「あぶみ瓦」。
建物の両サイドをおしゃれに流れる銅でできた樋<とい>。
一階に二箇所設けられた、欅で作られた戸袋、また窓にかかった格子。


正に「建物まるごと抜かり無し」といった感じです。




三善牧家

住所:東横町
名前:三善牧家
取材日:2005/09/02
更新日:2020/03/30

参考文献

信州須坂の町並み<青木廣安著、丸山武彦絵須坂新聞社>
その他参考資料

掲載している探検隊スペシャル